世界の手仕事が見られる博物館の第4回目。
今回は神戸にあるファッション専門美術館です。
兵庫県神戸市東灘区向洋町中2-9-1
六甲アイランド内、六甲ライナーのアイランドセンター駅から徒歩ですぐです。
服飾系の博物館は、全国にいくつかありますが、学校付属だったり、小規模の私設がほとんど。しかし、同館はファッションをテーマに1997年に開館した、日本初の美術館として知られています。
まずは、同館のコレクションの展示。18世紀から現代までの300年の西洋衣裳と、70ヶ国以上の民族衣装を紹介。刺しゅうやレース、アクセサリーの凄さなど、見ていてうっとりする素晴らしさです。
アンティークな衣裳もすごいのですが、着せているマネキンも気になります。それぞれ、流行に合わせたヘアスタイルやメイクをしていて、その再現性が目をひくのです。さらに、映像も充実していて、とにかく、ファッションを深く学ぶことができるようになっています。
さらに、特筆すべきは、ライブラリーの充実。
国内外のファッション誌や書籍が約4万冊。フランスやアメリカ、イタリアのVOUGEやELLEのバッグナンバー(20世紀初頭から!)が閲覧できる上、最新ファッション誌も揃っています。視聴覚資料もあって、テキスタイル(19世紀後半から20世紀後半の仏・伊の生地見本)も約3万点。
ファッションを学ぶ人も、現在活躍中の人も、大いに役に立つところなんです。
同館の設立は1957年。60年以上の歴史があって、コレクションも西洋衣裳を中心に、着物や十二単などの女房装束、世界各地の民族衣装の他、ファッション画・スタイル画など約14000点におよぶ服飾資料を収蔵しています。
さらに、展覧会も随時開催。ファッション関係以外にも、絵画等の美術展が開催されることもあって、そちらも他にはない特徴的な企画も多く、注目です。
現在は銘仙の特別展が開催中(2025年6月15日まで)
特別展「大正の夢 秘密の銘仙ものがたり」
最近では昭和レトロなどがファッションの分野でも流行っているようですが、レトロと言えば、やっぱり「大正ロマン」ではないでしょうか? この「銘仙」は大正から昭和初期に女学生を中心に大流行した着物。大胆で華やかな着物柄は、現在では着る人を選ぶかもしれません。着物文化は日本ではスッカリ廃れてしまい、銘仙も古着として安価に流通し、キルトの材料などにも使われてきました。しかし、近年はそのデザイン性が再評価されています。
まとめて見る機会も少ないですから、ぜひ。
『大正の夢 秘密の銘仙ものがたり 桐生正子着物コレクション』河出書房新社