手芸家・アップリケ作家、もしくは布を使うアーティストとして知られる宮脇綾子(1905-1995)。筆者が手芸の編集者としてキャリアをスタートさせた30年前には既に、手芸分野でレジェンド級の作家さんでした。
アップリケというとフランス語ですね。ワッペンという言葉もありますが、いずれにしても、言葉として日本に入ってきたのは20世紀? でも、布を重ねて縫い合わせて文様などを作るということなら、ヨーロッパはもちろん、日本の和服にも、アイヌの民族衣装、南米などの華やかな衣装など、世界中で行われてきた伝統の装飾技法ですね。
宮脇綾子は明治生まれて、戦時下の苦悩を味わった世代。手芸のようなものは御法度だった時代を超えて、40歳で創作に目覚めたとか。アップリケというけど、むしろハギレの再利用。身近な野菜や果物などの食べ物を題材にした、どこか懐かしい、今となっては古き良き日本を感じるようなデザインが多いです。・・・でも、発表された時代を考えると、実に斬新。そして、今も色あせません。
アートとしても手芸としても、とにかく写真では伝わらない、手のぬくもりと、主婦ならではの目線。
ぜひ、足を運んで、じっくり自分の目で見て欲しいものです。
会期終了まであと2週間ちょっと。
ぜひぜひ。
生誕120年 宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った
2025年1月25日(土)~3月16日(日) 東京ステーションギャラリー
追記1:
宮脇綾子さんと言えば、アップリケ作品が有名だと思うのですが、手芸ジャンルとして「刺しゅう」や「キルト」にするのもニュアンスが違うような気がしたので、本記事では「手芸全般」にしました。作品集もご紹介したかったのですが、絶版の稀少本ばかり。やはり展覧会で図録をゲットしてください。224ページの大ボリュームです。
追記2:
この他にも、全国のイベント・展覧会をまとめたページがあり、定期的に更新しています。
→「手芸関係のイベント&展覧会リスト」へ